介護職という選択

介護職への就職を選択する方へ。現役デイサービス施設長からの情報提供

高齢者の特徴–複合的連鎖的事情

高齢者の特徴高齢者の事情は複合的、連鎖的です。前ページでは高齢者の特徴は若い頃にできた事ができなくなっているとし、その特徴を事情で説明しようとしましたが、書かねばならぬ事が多すぎて書ききれませんでした。ここでは複合的、連鎖的事情についてつらつらと記す事にします。高齢者は若い頃のように行動できなります。原因として身体的老化、怪我、病気、認知症、精神的疾患、精神的老化にあるとしました。実はどれか一つのために能力が大きく低下するのはまれです。複数の事情をお持ちの方、ある事情があるために他の事情の影響が大きくなってしまった方がたくさんあります。これを連鎖的事情と名付けました。

精神的老化、身体的老化で転びやすくなる

精神的老化により危険を察知する能力は低下します。もう一つ、横着になると言う事もあります。手すりは頑丈な物でなければなりませんが木の枝など不安定な物をつかんでしまう危険な行為が見られます。反射神経、運動神経は身体的老化で低下します。こうなると転びやすくなってしまいます。

また、自分の体力を過信してしまった状態で出かけて、目的地に着いたが安全に帰るための余力が残っていなかったというケースもありました。

視力低下、聴力低下で危険を察知できず、精神的老化で危険性を理解できなかったり、筋力低下で踏みとどまれなくなったりバランスを崩したりすると転倒の原因になります。

転んで認知症になった

と中間の経緯を省略すると原因と結果が結び付かない事になりますが、こんな事が良く起きるのです。転倒によって怪我をし入院になりました。回復力の低下が身体的老化に起きているのが普通。入院は長期になると予測されます。体内で怪我の治癒にエネルギーが使われるのでしょうか、それとも強制的に寝たきり状態が続いて刺激が乏しくなるのでしょうか、急激に認知症が進むケースがあります。転倒で入院した方が幻覚を起こしたケースもありました。天井で魚が泳いでいるそうな。

無謀な行動が病気・怪我を起こす

精神的老化によって習慣がやめられなくなる事もあります。体力的に無理になっているのに散歩の習慣がやめられないケースがありました。無理は病気や怪我を呼びます。また体調を崩したのに「今日はやめておいたら」という忠告は聞けなくなったりします。

徘徊ってご存知でしょうか。この場合、認知症によって帰り道が分らなくなる・目的地がわからないのに行こうとする、そんな事で終わりが見えない歩行が続く事です。当然危険です。疲れて転倒、気温が変化しての風邪、予測の付かない悪い事につながります。

※これらは傍から見ると無謀な行動でしかありませんが、ご本人とってはきわめて合理的な事です。家族が迎えに行ったとしても知らない人が連れ去ろうとしていると思われるかもしれません。目的地はそっちではないと説明しても聞く耳ないかもしれません。常識的な「バカな事を言うな」での説得は無理です。対処方法はまたの機会に。

複合的事情が複合的事情を呼ぶ

左足が悪くなるとそれをかばう右足が悪くなる事があります。両足が悪くなると外出が困難になる、外出が困難になると家に閉じこもる。行動範囲が狭くなると運動量が落ちる。運動量の減少は筋力低下につながります。筋力低下はさらに歩行困難になります。ここから先に起きる事はパターンが多すぎてまとめられませんがロクな事にならないのは間違いありません。悲観的思考回路に陥るか現実逃避に至るか。刺激のない生活が思考力を奪うか・・・。

これはどんな事情だろう

良くわからない事も起きています。一般的に高齢者は寒がりです。血行が悪いから?皮膚感覚が鈍くなっているから?今の季節がわからなくなったから?習慣として着る物だと思っているから?何とも言えないのですが厚着をする人が多いです。それも異常に。入浴介助の時、衣服の着脱に時間がかかることから十二単(じゅうにひとえ)と呼んで職員が笑う時があります。厚着は季節に関係なく起きます。夏に厚着をしてぶるぶると大汗をかいている高齢者を良く見かけます。これが健康状態に良い訳はありません。脱ぐように勧めてもダメ、時にお怒りを買う事もあります。厚着による締め付けで血行が妨げられ、さらに寒さがつのる事もあります。

”かんり じんじ”の考える高齢者の事情

かんり じんじ個人差と言えばそれまでですがこれに運・不運が重なって一人として同じ状態の高齢者は存在しません。また今の状態からの老化は穏やかだとは限りません。久しぶりに会ったらひどい事になっている事もあり得ます。話がややこしくなるので省略しましたがご家族の影響で良くも悪くもなります。まれですが悪いことばかりとは限りません。いずれにしても老化は死の手前。これは避けられぬ事であり、目をそむける事もできません。死ぬのは行動力・思考力がゼロになる事。ピーク時の身体・精神的能力が100%として高齢者とはゼロ%に近くなり、さらにゼロに向かって行く人達になります。それが高齢者の介護施設と介護職のお客様なのです。

 - 介護職に知っておいてほしい事