介護職という選択

介護職への就職を選択する方へ。現役デイサービス施設長からの情報提供

残業にまつわるおかしな話|介護施設の労働

残業 残業って。残業は別に珍しい事ではありません。お仕事した事のない人でも知っていますよね。残業には不思議な事も起きるのです。残業って?所定の就業時間、8時間とかの中で処理しきれない仕事量があるため、終業時間を過ぎても帰れず、居残って仕事を続ける事になります。単純に10個仕事があってひとつ1時間かかるとしたら10時間かかって8時間の枠の中から2時間はみ出しますよね。これが残業になるのですが事はそう単純ではありません。いろんなつじつまの合わない事がたくさん起きます。介護の仕事って重労働と言われています。3Kと言う意味ではなく、仕事量が多く、残業しないと既定の仕事をこなせないと。そうしますとつきものとなるのが残業です。今回残業を切り口として介護施設で働くと言う事を考えてみたいと思います。

仕事がうまくない人ほど儲かる?

60分かかる仕事があったとします。A君は8つこなせと命じられました。これで勤務時間いっぱいです。B君も同じ仕事をしようとしました。ところがB君、ちょっと能力がなくて65分かかるとします。そうしますと5×8で40分オーバー、これがB君の残業になります。

残業すると残業手当がもらえます。たくさんの時間働いた人にはたくさん当たり、少ない時間しか働かなかったら少ないとか、ゼロになります。これは当然です。
能力の高い人の給料が高いはず。ですが残業を含んだ給与額では逆転する事があります。先のA君、B君の例ではA君は残業代なし。B君は40分付きます。必死になって作業時間を縮めようとするA君はゼロ円。危機感を持たずのんびりマイペースのB君は一日40分給料が高い。しかも残業代って通常の勤務を時給計算して25%の割り増しになります。

こんな事があるとA君も残業代欲しいのは当然、仕事のやり方をだらだらスタイルに変更するかもしれません。だってあほらしいから。優秀だった人がそうでもなくなってしまいます。
幸い、A君は前向きで正直です。自分の作業ペースを崩さず一生懸命。あふれている仕事をもらう事にしました。でもここでもつじつまが合わぬ事が起きます。B君のこなせなかった仕事を手伝う事にしたのですが40分の仕事を半分・・・となるはずでしたがA君の方が手が早い、結局A君の方が早く帰って残業代も少なくなりました。
まあA君としては不満はないこともないけど文句を言うほどではなくてまあ満足しました。ところが残業代の根拠はB君の手の遅さ。時々は残業したいのでB君が成長したら困るなんて、とんでもない事も考え始めるかもしれません。

C君と言うA君並みに手の早い人もいました。でもちょっとそそっかしい。失敗が多くて時々やり直しをします。無駄な時間が出てきますので結局B君と同じくらいの残業代が発生します。
それだったらご自分の責任です。この人、よく物を壊します。修理はできないのです。そうなりますと修理のできる人に予定外の仕事が入る事になり、そっちの人に残業が発生します。

B君のやり残しを2人でしたら両方に残業代が出ます。仕事がすべて終わっていっしょに帰ったとします。A君の仕事量は1人前プラスアルファ。B君はマイナスアルファ。で、給料支給額は同じ。

定時になりました。A君の仕事は残っていませんがB君の分は残りました。で、B君は帰ってしまって、A君が片付けました。これならA君の方が給料が多くなります。B君より手が早いので時間も短いので額も小さくなります。B君はすぐに帰ったので遊びに行けます。A君は行けません。これもなにかいびつですよね。

このような話はお仕事をした事のある方は良くご存じかと。職種によって違いは色々ありましょうがどこの職場でもこんな事はあるんじゃないかと思います。

この状態を管理者はどう見るか

仕事の割り当てがおかしいかと。みんな同じ量になってますから。A君多め、B君、C君は少なめにするとよろしいかと。そうしますと一カ月とか一定の期間で見たらA君がたくさん仕事をこなし、B君C君はそうでもない事がわかります。当然A君の評価は高くなります。そうならないと不公平ですし。A君のように仕事をしようと言う目標もできますから。

昔、生活残業と言う言葉もありました。生活費を稼ぐために残業をたくさんするという事です。積極的に仕事を作って前向きに見えますが実は残業代稼ぎです。こう言うのは管理者としては防がないと経費があっという間に増えてしまいます。

この状態を経営者はどう見るか

経営者としては人件費しか見ていない事もあります。なんで残業代が発生するか?BとCがどんくさいからだ、そんな物を払ういわれはないと。残業代はカットだーって。それは一面正しいのです。残業の原因は従業員側にある訳ですし。放置すると成長しないし、Aにも悪影響すると。

もらう分が増えるのは従業員にとってうれしい事。逆に払う分が減るのは経営者にとってうれしい事。払うべきでない所は払う事はないのです。ところがいかなる事情に於いても残業代は払わないとした上で、どんどん仕事を増やすとブラック企業化します。

他のページで介護の仕事は批判を得やすく、批判を否定しにくいと書きました。経費削減目的で従業員批判をするのはいかがなものかと思われます。悪意の批判でなくて誤解も生じやすいです。対立は深まりやすいと思われます。

もっとも悪い事ばかりではありません。残業をする事による利益が残業代を上回るとしたら経営者としては喜ばしい事になるはずです。

従業員の事情はそんなに単純ではない

このような事はあり得ないと思います。どの人も同じように作業している事が前提。実際はそんな事はないはず。仕事は分担されていてそれぞれのポジションがあって作業内容は違うのが普通です。他の人がカバーができない事も多いと。
こうなるとなにが起きているか見えないくらいになります。
また、例として単純作業のように書きました。実際は臨時の仕事が入って来る。想定外の出来事が起きて作業ができなくなってなんとかしないといけなくなる。急な休みが入って人員が足りなくなる、他の誰かが失敗しそのフォローをする必要が出る等々。

管理者の事情も複雑

大体の職場では残業し放題って事はありません。たいてい申請制、許可制になっています。こんな仕事を時間外にします、何時間かかりそうですけどよろしいですかって。
この時に却下するのは2つ。そんなことしなくていいよと言う場合、例えば明日したらいいのにとか、余分な事だとか。
もう一つがそんな理由で残業代を請求するのはもっての外と。失敗しましたからやり直しますとか、他の人と同じペースで片付けられませんでしたとか。

前者は仕事がなくなりますから時間外作業はなくなるように見えますがそうでもありません。
従業員はやりたい事、やらねばならぬ事の事情があって仕事をしたりします。それは管理者として理解できないかもしれません。そこまでやる必要があるか、なぜそっちの仕事を優先するかと。業務時間内にこれをやりましたから片付きませんでしたと。こうして残業する必要が起きる事もあります。余計な事をしたから仕事が片付かないと言うのは言いすぎかもしれませんがちゃんとした説明がなければそう見えてしまいます

後者はもうどうしようもありません。技量の向上を目指してほしい所です。たいていの方は他の人のせいにすることなく、黙々と残務を片付けます。

サービス残業と言うのもあります。無料で残業すると言う意味ですが自分だけに原因がある時の自己フォローはこれに当たるかは疑問です。自分の技量の低さや怠慢を棚に上げて無料奉仕をさせられてるように思いこんで負担だとの想いがあったら管理者として、いや同じ職場の同僚として非常に残念です。

経営者の複雑な事情

もらう分が増えるのは従業員にとってうれしい事。逆に払う分が減るのは経営者にとってうれしい事。払うべきでない所は払う事はないのです。そこをやり過ぎてしまう事もあります。いかなる事情に於いても残業代は払わないとした上で、どんどん仕事を増やすとブラック企業化します。

他のページで介護の仕事は批判を得やすく、批判を否定しにくいと書きました。経費削減目的で従業員批判をするのはいかがなものかと思われます。悪意の批判でなくて誤解も生じやすいです。そうなると経営者としては無駄な経費としか映らないかもしれません。

サボりVSタダ働き

労働者はサボりたがり経営者はタダ働きさせたがる。極論です。双方がずるかったらこうなります。かつてある会社の社長が「従業員はすぐにサボる」と言いました。私は「社長はすぐ賃金カットする」とかげぐちをたたき返しました。

賃金÷労働時間の式は時給の計算です。

従業員としては分子である賃金は増やしたい。分母の労働時間を減らしたいのが本音です。分母も増えますが分子を増やしたいなら残業があります。労働時間を減らしたいから気の抜けて緊張しない時間を増やしたがります。これを経営者はサボりと言います。

経営者としては賃金を減らしたいところです。同時に賃金支払い対象にならない労働時間を増やしたいのが本音です。時間外の仕事をさせてなんだかんだと理由を付けて残業代カットをしたがります。これを従業員はタダ働きと言います。

いつも労働者と経営者は仲悪く、給料を奪い合うケンカをしているのではありません。でもサボらないようにし、タダ働きを強要されないようにしたいところです。

残業に対して”かんり じんじ”が思う事

かんり じんじ

残念ながら介護施設って仕事量の多い業界って言われています。結構遅い時間まで電気が灯っている施設を見かけます。お客様の都合で時間外の時刻を指定される事もありますし。でもその多い作業量の原因は介護職が自ら作ってしまっている場合もあります。失敗が原因だったり、効率が悪いやり方だったり、簡単にしたらよい事を馬鹿ていねいにしたり、後で考えるとしなくて良かったり。ここは客観的に、こだわりを捨て、折に触れて自分の、施設全般の仕事の流れを見直して業務改善に努めたいところです。それに何をするにしても密度の高い作業にするように心がけ、60分の仕事は55分で終わるように工夫したいところです。

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