介護職という選択

介護職への就職を選択する方へ。現役デイサービス施設長からの情報提供

介護でのPDCA

PDCAサイクルPDCAとは古くからある仕事の進め方です。P:Plan=計画 D:Do=実施 C:Check=評価 A:Act=改善 の略です。翻訳は多少揺れがあり、実施が実行になっていたりしますが「やる」くらいに意味をとらえてください。PDCAと言う言葉には「サイクル」が省略されています。PDCAサイクルのサイクル、繰り返しが大事です。とは言っても無意識にやっている自然な手法です。簡単な事ですので過大に期待すると肩すかしになるのですが意識すると仕事が上手にこなせるかもしれません。研修の時に「知ってるか?」と言われて恥をかく事もあります。基礎知識として覚えて置いて損になりません。

CheckとActをいっしょにしてSee:観察。PDSとも言われます。個人的にはこちらの方がぴったりくるのですがPDCAの方が一般的のようです。

お店での例

問題点:棚の売りたい商品が売れません
Plan:商品が目立たないのでは?
Do:並べ方を変え、売りたい商品を前に出す
Check:お客様は無反応
Act:もっと目立つようにしないとだめか

Plan:ポップ(お買い得!とか書いた紙)を付けてみる
Do:作って付けてみる
Check:読んでいる人はいるが買う人は増えない
Act:ポップの内容が悪い?書きなおしてみる・・・

店舗ではこんな感じになるんじゃないでしょうか。PDCAサイクルと言うとすごく大層に聞こえますがこのような事は日常的に行われていると思います。

もっと極論で簡単な例

それは違うでしょうと言われる位での極論。歩く時です。目的は移動ですよね。まずは片足を出します。それによって変わるバランスをチェック、体重移動します。体重移動は行き過ぎず、足らな過ぎず。過不足があったら適宜修正。着地点が思ったより高くても低くてもそれなりに体重移動。バランスを崩さないようにしながらまた体重移動。次に地面を見て安全を確認しながら反対の足を出す準備をします。そして次の足を上げて・・・。

足を上げる時に想定外の障害物によって少し妨げられた時・・・つまずくって言うんですが、それでも修正。歩いている最中に状況が変化、滑りやすい路面になったとしても、次の足の着地点がその前の足よりも大幅に上にある場合—登り階段とかですが—逆に下り階段でも適宜修正がされ、状況にふさわしい足の出し方が行われます。

仮に次の足が出せない時、崖とか壁だったら迂回して目的地を一時変更します。また片足に痛みがある、ヒールの高さが違う、荷物があって足への負荷が不均等に高い等々のイレギュラーな時にも足を出して、その結果をチェックして、次の足の出し方を微調整、粗調整して目的地に近付きます。

違うだろって言われそうですが、すこし行動してチェック、その結果で次の行動を調整、行動してその結果をまたチェック、果てしなく繰り返して目的を果たすって所は良く似ていると思います。

歩行状態悪化の方に杖を提案

介護職としては?介護施設としては?ちょっと認知症が進んだあのお客様、最近歩きにくそうだな、転倒の危険性はないかな。なんとかならないかと思ったとします。

Plan:杖を使ってもらったらどうかなと思った。

Do:杖を使ったらどうかと勧めてみます。

Check:勧めてみたのですが妙な顔をされました。どうして?

Act:結局、杖は買いに行かなかったようです。なんで?歩きにくいと思っていない?

サイクル:ここであきらめてしまうとなんにもなりません。ここはがんばりどころ、安全に歩いてもらいたいです。

Plan:歩きにくくなっている事をまず認めてもらおうと思いました。

Do:歩きにくくなっているでしょうと言ってみます。

Check:おや。機嫌をそこねてしまわれました。

Act:そうか。歩きにくくなっていると思っていないようだ。そこを認めさせようか?いやそれはまずい。老化を認めさせるなんてよろしくない。ネガティブな所を強調するよりも杖を使って便利な所を実感してもらおうかな。

Plan:とりあえず杖を使ってもらって様子を見る事にします。

Do:誰も使っていない杖があったので使ってもらいます。

Check:照れながらも使ってもらい、姿勢安定を認めてもらいました。

Act:とりあえず杖のよさを認識してもらえました。
継続して使ってもらえる事、借り物ではなくて寸法と形状がぴったりな物が必要だと思いました。今日は杖のよさを認めてもらえましたが、いつまで覚えておられるか?

って言う風にうまくいかない所と戦い、うまくいった所は残し、新たに課題、目標が明らかになりましたがお客様がよりよくなるように努力し続けて行きます。
当初の目標は歩行状態の改善でした。杖を使わせてやるんだと意地になってはいけません。杖は手段です。他にはリハビリ強化も考えられます。歩行状態改善がのぞめないなら、状態改善よりも上の「現状の生活維持」に課題を変更、環境を改善するとか色々あるのです。あくまで問題解決の手法であってそれが目的になってはダメです。

ケアマネの例

施設はケアマネージャーの作ったプランに従ってサービスを展開します。ケアマネージャーもPDCAサイクルに似た手法を使って仕事をしています。

まずはお客様の問題点を明らかにします。その上でどのサービスを使うと効果的かを考えてケアプランと言う物を作ります。
ケア=介護 プラン=計画ですね。
Doはケアマネはしません。施設側の仕事ですから。Checkは各施設から上がって来る報告や、実際にお客様やご家族に会って効果の程を確かめます。これはモニタリングと呼ばれます。Actは計画修正。最初のケアプランで効果的と思われたサービスもいらなくなったり、足らない物があったりちょっと違ってた事がわかったりします。状況も変わります。お客様が元気になったり、身体状況が悪化したり。サービスでも対応を変更する必要が出ます。そうなればケアプランは修正されます。修正されたケアプランはまたモニタリングでサービスの過不足や正誤をチェックして・・・。これが繰り返されるのです。

PDCAは一人がするとは限りません。複数の人がサイクルを形づくる事もあります。施設内でも。チームワークはこの視点があればスムーズになるかもしれません。

PDCAについて”かんり じんじ”のまとめ

かんり じんじ課題に対してどう対処するか。方法は色々。一発で正解にたどり着くとは限りません。正解が一つとは限らない・・・どころか正解がないかもしれません。課題をなんとかする必要がある時、試行錯誤をシステム化する手法と思ってもらったらよろしいかと。ケアマネの例にあるように一貫して一人がするとも限りません。施設でもケアプランを受けてサービスの提供を計画して実施します。ある介護職がちょっと進めて次の介護職に申し送って引き継ぐ、みんなで結果を話し合ってチェック、良かった所、反省点を出して計画変更。ケアマネに報告してケアプランの計画変更を依頼する等々が行われています。この繰り返しの流れを妨げず、推進する事が自然に行われて欲しい物です。まるで歩くように。

 - 介護職に求める物